無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 平凡社ライブラリー (150)

厳しい封建制社会の中で、それと相対するかのような、異なる道徳律の支配するウエなしの世界-無縁。それは権力者の支配できない寺であり、「河原」であり、「市」であり、「宿」であり、「家」であり。また堺の如き「自由都市」であり。
日本の中世について、まったく別の見方を教えてくれる。

もちろん、現代においても既成の「しがらみ」から離れられる場所は存在しているのかもしれない。その一つが他ならぬインターネットの世界。いや、別にネットのコミュニケーションが自由で、ユートピアの如くに言うつもりはまったくないのだが。
一種のアジール(安全地帯)であり、既存の律の及ばぬところとしてきたのは確かだろう。もっとも今後もその機能を続けられるとも思わないけれど…。