ガメラ

湯浅憲明監督訃報に対する唐沢俊一氏の切ないレクイエムに泣かされる。
http://www.tobunken.com/diary/diary.html

全ての昭和ガメラファンにお願いする。迎えに来たガメラの背中に乗り、空へ去っ ていく(ガメラは“空に”去っていかなければならないのだ。絶対に)監督に、初め てガメラを見た小学生の頃に戻り、窓の外に飛び出し、思い切り手を振って別れを告 げて欲しい。ガメラはきっと帰ってくる。ガメラは子供の味方なのだから。

私にとって「ガメラ」は映画館ではなく、学校の講堂で見るものだった。月一回の全校映画鑑賞会。体育の授業にも使って普段見慣れているはずの講堂が、暗幕を垂らすことでまったく別の異世界となる不思議さ。その不思議な空間の暗闇の中に躍る異形たちを息をつめて見るものだった。
ガメラは確かにチープな特撮映画だったけれど、あの講堂での非日常は私の心の奥底に宿っていて、だから今も特撮作品に惹かれ続けているに違いない。出会いの順番から、私にとっての原点は「ゴジラ」ではなく「ガメラ」なのだ。

私には、「子供の味方」として、ゆるぎのない「正義」として、いい加減すれてしまった大人になって思い出すことのできるものがある。それはきっと幸福なことなのだ。