メギド

メギド
パレスチナの土地、「メギド」。実はエジプトとカデシュとの古戦場なのだが。聖書に「メギドの火」の記述があるためか、いろいろと剣と魔法小説やオカルト、ホラーやお馴染みの名称だ。
そのメギドの地を舞台に人類の興亡をめぐり、悪魔の子(ビースト)と神の子が最終戦争を!
あーもう、この風呂敷広げすぎの設定の時点で、わりとダメなので、中味を確認せずにレンタルするのはやめよう、と決心させるに十分なんですが…。
物語の始まりはオカルト風。かの名作オーメンの如く、美少年が額に悪魔の徴(しるし)をいだき、赤ん坊の弟を暖炉の火で燃やすところから始まる。オーメンのリメイクなのか?と思っていると、少年はさっさと大人になり士官学校に入学。オーメン3と同様、なんであの美少年がこんなイモな兄ちゃんになるんだよぉと涙目で抗議したくなるような内容に。んで、死んだと思った弟のほうは何故か一応健在。オーメンシリーズを一作でやるわけだねえ、と斜めに見ていると、さらに時は流れ、かつての美少年はサイコ極まりないおっちゃんへ。EUの最高議会議長に登り詰めるわけだがどうみてもそこらへんのいかれた新興宗教の教主にしか見えない。弟のほうはあまりマッチョでもないアメリカ大統領となっている。EUアメリカ対決ね。
つまりハルマゲドンは兄弟ゲンカでした、という情けない話。兄と弟で女一人を競い合うし。あー、悪魔も神の子も情けないよなあ。ま、もちろん、その情けない兄弟ゲンカにまきこまれて人類は滅亡の淵に陥るのだが…。
で、メギドの地に於いて、世界中の軍を巻き込んで一大決戦へ。本物の戦車やヘリを使用した戦闘シーンはわりと格好いいので、おお、さすがハリウッドと思うのだが、後がいけない。なんと悪魔が羽根つけてでてきちゃうのだ。もう、日本の昭和特撮も真っ青というようなチープさで!
うっわー安ーいと感心していると、悪魔はさらに情けなくなんの力も持っていなくて、なし崩しに神のわけわからない力で封印される。
キリスト教圏で最終戦争ものを描くと、最初っから「神」側に絶対的な力があって勝負は決まっている。だから話に危機感が生じようがないのだが、それでももう少し盛り上げようがあると思うんだが…。全体に漂う「情けなさ」「安さ」加減。ああ、時間の無駄、無駄、無駄ぁと思いつつ、こんなに詳細に書いちゃったよ。