山師カリオストロの大冒険

山師カリオストロの大冒険
種村 季弘

by G-Tools

カリオストロという名前が宮崎アニメで有名になってしまったけれど、それとは、もちろん、なんの関係もない。
山師カリオストロ。妻に売春をさせつつ、医師というふれこみで美顔水やらニセ錬金術やらを売り込み、フランス革命の引き金になったとも言われる王妃の首飾り事件にも関与したという噂もささやかれる大悪党。俗と聖と、詐欺と錬金術の合間を駆け抜けた大詐欺師の一代記である。
軽佻な語り口のまま、旅する(というか、詐欺がばれるために一所に安住することの出来ない)カリオストロの生涯にひきずられるように、光と影に彩られたフランス革命前夜17世紀ヨーロッパをパノラマできる名作だ。
王妃の首飾り事件に関しても詳細な記述がある。
まあ、著者によれば、カリオストロはこの事件にほとんど巻き込まれただけらしく。それを契機に哀れな末路を迎えることになるのだが…。
そして、時勢は嵐のような革命へ。カリオストロの如き山師の存在を許さぬ疾風と怒濤の時代が開かれることになる。