グラディエーター

グラディエーター



塩野「ローマ人の物語」で極私的にローマ史づいているので、リドリー・スコット監督によるハリウッドサンダルの復権映画をレンタルで。
私は、「グラディエーター」という題名から、てっきり「スパルタカスの叛乱」を取り扱ったものと思いこんでいたのだが…。賢帝マルクス・アウレリウス時代の話だった。出来の悪いバカ息子皇帝コンモドゥスに実は皇帝候補の兄貴がいたら…という歴史if。モンテ・クリスト伯のような復讐物語である。冒頭のゲルマニアの戦闘なんかは、さすがに迫力。
CGによるローマの風景やコロシアムがいまいちなのは、当時の技術の問題なので仕方がないところ…。しかし、退廃のローマ皇帝コンモドゥスはもとより、アウレリウス帝も含めて、でてくる皇帝やら皇帝一族、元老院議員があまりにもちゃちで、みんなそこらへんの地方領主くらいにしか見えないのが問題だろうなあ。
いきなりラストで、コロシアムでコンモドゥスが「グラディエーター」として戦うのには口をあんぐり。後でネットで調べたら、確かにコンモドゥス帝はヘラクレスのコスプレをしたり、闘技場で闘ったりしているのだが…それはある意味余興なわけで、当然、皇帝自身に危害が及ばないように仕掛けられているからこそだ。それなのに、見るからに体格も技量もすぐれた復讐にもえる敵の前にのこのこと出てくるのは、皇帝としても悪党としてもアホすぎだ。いくら毒の剣で刺していても、まだ動けるじゃん。
「トロイ」のアメガムノンの最期といい、「悪党はちゃんと惨めな死を迎えねばならないの法則」はわかるけれど、もう少し説得力のある話にできないのだろうか。
http://www.augustus.to/coin/ZN_default_j_commodus.html