ULTRAMAN

私はファミリーバリューの物語なんて大嫌いだ。押しつけがましいハリウッドごたくで「家族が一番大事なんだよ」と言われても、「けっ」と反感をもってしまうほうだ。(「Mr.インクレディブル」は多分見に行くつもりではあるけれど、一応ちょっとした不安感は持っている。多分大丈夫だけどね。)
「家族」には「家族」の数だけいろいろな形態があって、その「思い」が単純に割り切れるはずはない。「家族」がこじれたときにどれほどの醜い姿をさらすのかも、実体験も含めて知っているし。
だが、「ULTRAMAN」には素直に泣けてしまった。
「夢」を必死の努力で勝ち得た男が、それにもかかわらず「家族」のためにその「夢」を捨て去ることを決意した話だからか。そして、そこまでして求めた「ささやかな幸せ」さえ、失う話だからか。そして、それなのに傷つきながら見知らぬ他人を守り、「ヒーロー」として戦う話だからか。
この映画は「ウルトラマン」でなければ成立しない話ではあるけ方れど、長年、ウルトラマンが「子供向け」として作りに徹底してきただけに、今更この映画のテーマを受け止めるべき世代が、おそらく見に行かないだろうと予想されることが悲しい。
もしかしたら、映画館の中で、子供たちは途中で退屈して騒ぐかもしれないが、どうか許してやってほしい。つきそいで嫌々見に来たお父さんやお母さん、これはあなたたちのための映画だから。

もちろん、いろいろとアラがないわけじゃないです。ええ。でもそういった冷静な指摘が、ちょっと出来なくなっちゃってるかも。なんか今年いっぱいしか上映しないという噂もあるし。もう一度みたいな。