問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?

問題な日本語―どこがおかしい?何がおかしい?
北原 保雄

大修館書店 2004-12
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福岡のオフの時に、どんたれさんから頂いた本。(面白い本をありがとうございました。>どんたれさん)
内容は興味深いし、随所にでてくる4コマ漫画が素晴らしい。いやー楽しかった。
言葉というものが、時代により変化していくということはわかってはいても、なにやらヘンな言葉づかいや言い回しがテレビや看板にすらでてくるのに、なんだかなぁな気分だったので。その違和感がどこからくるのか、はっきり言語化してくれるこの本は非常にありがたい。日本語は本当に関係性にこだわる言語なんで、相手との関係性で使い方が複雑化するしね。ついつい全ての変化を厭ってしまう硬直化を、この本は戒めてくれるし。
ただ気になるのは次のような傾向。半疑問文で喋ったり、「私って〜な人じゃないですか」と、さも第三者のような言い方をするところかな。これは別に年齢を問わずその傾向が見えるし。
1.「はっきり指摘する」のを避ける。
2.他人ごとのように言い回し、責任の所在をなるべくあきらかにしない。
もちろん、日本語がもともとそういう傾向を持っているわけだけど。個人主義が進んで、自己主張が強いことが必ずしも非難されないはずの時代に、その傾向がますます進んでいるのは何故だろう。もしかして、我々が思っているほど世の中はそうなっていないのか?下を向いてばかりで、はっきりモノを言うことができない若年層を見ているとそういう不安がもたげるんだよなあ…。
そして、その「はっきりしない」「自己主張」をしない、のは他人を慮ってというよりはただただ自分が傷つくのを防ぐためのような感じがある。どうして、そんなに弱く、皮膚と神経だけをぴりぴりさせているのか…。
言葉は変わる。世を反映して。それはそれで仕方ないことなんだけど、その内面ばかりを向いたような変わり方はイヤだなぁ。