バットマン・ビギンズ

今まで作られたバットマン映画としてはよくできているほうだとは思うんだけど。でもなあ、いかんせん、ティム・バートン版があるからなあ…。
カッコイイ、と思えるシーンもないわけではないし、面白くないわけでもない。ただ、次の瞬間、どーもと醒める感じがする。特に噂のチベットパートで、がっくりとくる。撮影現場にはいたんだろうから、せめて「忍者」は止めろよ渡辺健。
今流行りのエフェクトを多用して、全体像がどうなってんのか、ちっともわからないアクションもダメ。。潔くない。それにザコ相手にいつも後ろからぶん殴るヒーローってのは、ちょっとなあ。
クリスチャン・ベールの身にまとう暗さが「ストイシズム」や「求道」に映らないってのが問題かも。(少なくともリベリオンではそういう効果を生んでいた。)ダークヒーローなんだから、やはり「けれん」と「華」が大事だと思う。脇を固めるのが、あまりにも渋くてカッコイイ役者ばかりなので、どうにも主人公だけが沈んじゃうんだよね。ただの「未熟」って感じではなく「凡庸」の海に。
なによりも気になるのが、ゴッサムシティ。ガーゴイル舞う爛熟の極みにある犯罪都市にしては、なんだかキラキラとしたふつーの都会に成り下がった。明るすぎる。センスがないです。現実味というのが皆無のゴッサムシティだからこそ、コスプレ大富豪が闊歩していてもいいんだけどなあ…。