ウルトラマンネクサス 第38話

孤門が変身する。
姫矢の贖罪と孤独の戦いを、リコの悲劇と自己犠牲とを、憐の絶望と諦観の戦いを、凪の憎悪と激しさとを、そのすべてを継承し、そのすべてを乗り越えて、今、孤門の手にエボルトラスターが握られる。
ウルトラマンとして人々を助けるために。
見るだけしかできなかった男が、ついに自ら銀色の巨人となりすべてを託されるにたるものへと成長を遂げる。
それを私たちは見たかったのだ。悲劇と絶望的な戦いの地獄巡りの果てに。神々しいウルトラマンが、やっと人々の賞賛と応援を受けつつ、本来の力を取り戻すその姿を。
そうやって、世界は欺瞞から開放され、戦う強さを手に入れる。
欺瞞によってビーストを避けようとしたこと自体は、彼らにとって最善の策だった。他にどうしようもなかったから。だから非道にも手を染め、人々の記憶を奪い続けた。来訪者とのコンタクトのために「親」を持つことのない子供たちも誕生させた。デュナミストの候補者たちをナイトレイダーという組織に組み入れたのも、おそらく意図的な措置だろう。
その部下たちを導くことができなかった無力と孤独をかみしめつつ、なおも戦いに赴く隊長のひとりぼっちの「出動!」が、胸に迫る。
だが、運命(とき)の歯車がきっちりとあったとき、人のなした努力を天は無為とすることなく、巨人の姿に昇華させたのだ。そうやって、本来の戦いのはじまりを告げて、物語は終わる。

マーケティングや、営業戦略をすっかり間違えて、大人の観賞に堪えうる「21世紀」の「空想科学ドラマシリーズ」は打ち切り短縮という憂き目にあった。直接でなくてもいい、どこかで、誰かによって、その継承がなされんことを。そう「あきらめるな!」
そして、最後まで「オレの光」を走りきったスタッフの方々、「ウルトラマンネクサス」の制作に関わったすべての方々へ、いいもん見せてもらいました。本当にありがとう。