ニューオリンズ

ハリケーンとその後の洪水で、壊滅的な打撃を受けたニューオリンズ
昨年の夏に訪れたばかりなので、とてもつらいニュース。
取り残された人々、難民と化した人々。略奪が横行する街角
あの美しいフレンチクォーター…。美術品のような観光都市は見るかげものなく失われたことであろう。
天災ばかりではなく、人災、そしてあの都市のもつ根本的な歪みが、現状に現れている。
おそらく観光資源として有用なフレンチクォーターの再建はそう難しいことではないだろう。18世紀からの伝統を持つオリジナルは失われたかもしれないけれど…。私はフレンチクォーターしか歩かなかった。だからその外のニューオリンズがどうなのかは、本当のところは知らない。華やかなマルディ・グラの街の、煌びやかな光が強ければ強いほどに、その光の当たらぬ闇が濃いのではないか、と、不安を抱くだけだった。
多分、今のニューオリンズを見るところでは、私の不安は当たっていた、というより、その不安以上の理不尽が横行していたのかもしれない。
そして天災を引き金にして噴き出してしまった矛盾の傷跡は、無惨で、癒すことがとても難しそうだ。