ローマ人の物語 17〜20
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長屋の大家なら、ご馳走までして無理矢理義太夫を聞かせるのも喜劇ですむのに、世界帝国の皇帝となると悲劇でしかない。もっとも今際の際に、「今、ひとりの芸術家が死ぬ…」などと、ナルシストぶりが徹底しているところなどさらに憐憫すら感じる。ひとりの皇帝になるには愚かすぎた男の、もしくは皇帝でさえなかったらまわりの苦笑を呼ぶだけであった凡人の、悲しくて愚かな喜劇、といえるかもしれない。