文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの

上巻では、地球の気候変動と文明の衰亡とを関連づけ、下巻では、現実に世界が持つ環境問題へとそのソリューションまでを述べている。

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

草思社 2005-12-21
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文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)
ジャレド・ダイアモンド 楡井 浩一

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とっても分厚い上下巻。いつもバックの中に入れていたんで、私のバックは見事に変形してしまった。←単行本、持ち歩くなよ。
少々、翻訳が硬いが、内容自体は非常に面白いので、このボリュームでも全然平気。
環境問題の本はいろいろあるが、最後人類への罪悪感に訴える感情的なものが多すぎる中で、さすがに冷徹な分析を繰り広げている。
脆弱な環境を回復不可能にまで搾取すれば、モトにもどらなくなる。
気候変動(地球の歴史規模すれば、マイナーな変動)はしばしば起こり、それを引き金として、文明は簡単に崩壊する場合がある。(環境によって気候変動への感受性が違う。)
繰り返される愚行。歴史を紐解くだけで、文明の爛熟が破局を招くことを物語る。
さらに下巻で指摘されるルワンダ問題、ドミニカ共和国とハイチ問題。オーストラリア問題。いささか暗澹となる問題山積みの現在の世界。グローバリズムの問題は問題として、第三世界で現在起こりつつある環境問題は、なんとか食い止めないと、大変なことになる。
ボトムアップ(そこに住む人々の努力)とトップダウン(政府などの強権による政策)の両方で、環境への致命的な破壊をなんとか食い止められると著者は希望を残す。ああ、だからもう本当にくだらない猿山のボス猿争いをやってるヒマはないんだってば…。