ヴィレッジ
トレイラーを見る限りにおいては、ホラー調だったけれど、「恐怖」が主題ではない。
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閉鎖された空間や共同体が、内部の人間が思ったものとは違っていて、その真実を顕わにするとき、人間関係が崩壊するというストーリーはSFにはわりとよくある。たとえ森のボーダーを超えたら宇宙空間でしたというオチでも、まあ、驚かないかな。
もっとも、理想郷を作り上げた人たちのもっとどろどろの崩壊劇になるかとおもいきや、それをあっさりと盲目の女性の恋人を助けるための奮闘にすりかえちゃったのは、シャマラン監督のスタイルってもんでしょう。本格ホラーのはずの「シックスセンス」を、少年とオヤジの心温まる交流話にすりかえちゃったように。
知恵遅れで、成長することのないノアという青年。実は、彼がその攻撃性を制御できない、無垢もしくは無知が必ずしも聖性を得ているということではない、という冷たい皮肉な展開は結構気に入った。そして、盲目のヒロインによって聖性を失った無垢は怪物として殺され葬られてしまう事実は、やがてこの村を再度蝕むことになりそうで、必ずしもハッピーエンドじゃないというところもポイント。
やがてくる怖ろしい崩壊を予想させつつ理想郷のままで終わるという難しい地点…。うーん、確かになかなかヒットしない暗い映画かもしれない。
とはいえ、閉鎖空間に閉じこもる前に、一応抗生剤とかだけは用意したほうがいいと思うケドね。