爆撃聖徳太子

爆撃聖徳太子爆撃聖徳太子
町井 登志夫

角川春樹事務所 2004-02
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アマゾンでブラウジングしてて見つけた本。実はミラノで読破しました。←よりによって
日本史最大の謎ともいえる聖徳太子を主人公にした物語。語り手は遣隋使で有名な小野妹子。歴史の定点はきちんとおさえつつ、当時の東アジアの状況も採り入れ、なおかつ、その間をアクロバティックな想像でつないでいる。面白かったです。
為政者として頂点にあったと思われるのに、「天皇」に即位することなく「太子」として生涯をおえた厩宿の皇子。謎が多いだけに、梅原猛の「隠された十字架」だとか(ノンフィクションの体裁は取っているけど、まあ、梅原フィクションですな)山岸涼子の「日出る処の天子」とか、数多のフィクションの題材にされる人。聖人だったり怨霊になったり超能力者だったりいろいろみんな好き勝手なことが言える。今回の町井版聖徳太子も、かなりはじけていると言っていい。そのはじけた人物に翻弄される常識人小野妹子という図式自体はマンガやライノベなんかでよく見かけるけど、歴史の事象のとらえ方と当時の社会情勢の分析が非常に面白くて、最後までぐいぐい読ませる。そうなんだよなあ。隋の煬帝(ようだい)といえば韓国を何度となく攻めた専制君主。そこにケンカ売ってるに等しい親書を送る人物が、聖人なワケはなさそう…。
諸葛孔明卑弥呼」も読みたいんだけど、アマゾンで売り切れているなあ…。