エビータ

ロイド・ウェーバー作のミュージカル、「エビータ」の完全な映画化。アルゼンチン元大統領、ペロンの妻エバ・ペロンの一代記。毀誉褒貶に晒された、元女優の大統領夫人。華やかな生涯を若くして終え、アルゼンチンでは一般大衆の絶大な支持を受けた聖エビータの物語。
映画化は実際緻密にミュージカル版をなぞっている。すべては歌で叙述され、ほとんど台詞がない。悲惨な内戦のシーンですら、歌で語り継ぐ。

エビータエビータ
アラン・パーカー オリヴァー・ストーン マドンナ

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ミュージカルにはルールがある。歌の上手い人間が主役ってコトだ。歌声の美しさのみで舞台のすべてを攫うことができる。「キャッツ」のジェリクルキャットも、「オペラ座の怪人」のファントムも、論理を越えて歌声のみがその主役を支える。
そしてスクリーンをマドンナが歌声で支配する。チェ・ゲバラを演ずるアントニオ・バンデラスすら単なるナレーター役に蹴落として、マドンナが映画を支配する。もともと名声を得ている歌手なんだから上手いのは当たり前とはいえ、それにしても素晴らしい歌声、美貌、肢体、情熱のアルゼンチンタンゴ
上を望む野心に溢れた美貌の貧しい女が、利用できるものはなんでも利用して、ファーストレディにのし上がっていく。その姿はフィクションを越えて、この当代一の歌姫(ディーバ)の挑戦的な所行に重なっていく。