ビッグ・フィッシュ

親父のとても信じることのできないようなホラ話にうんざりとし反感を抱いていた息子が、臨終を前にした父と初めて向かいあうことにより、父親への愛と尊敬を取り戻す…、と文字で書いてしまえば、陳腐な内容。
だがそこはバートン。幻視の世界が繰り広げられ、真実と虚偽のあいまいな境目を映像化してみせることで、徐々に変わっていく父と息子の関係性を静かに描写する。親子だからこそ分かり合えない、でも、親子だからこそ互いを受容できることもある。

ビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディションビッグ・フィッシュ コレクターズ・エディション
ダニエル・ウォレス ティム・バートン ユアン・マクレガー

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2005-12-16
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人の死の瞬間を映す右目を持つ魔女、優しい巨人、隠れ里に住む詩人、狼男のサーカス団長、シャムの双生児の芸人…。現実とも、ファンタジーともつかぬ世界の住人たち。彼らが本当にいたのか、想像の中にいるにすぎないのか…。それでも父親が通った人生を彩る思い出の中に、彼らは息づいている。
親と子の永訣の透明な悲しみと、「思い出」として残る生の喜び。バートンを見るにはバートンの目がいる。

(追記)ユアン・マクレガーって好きじゃなかったんだけど、この作品ではとてもいい味を出してます。←オビワンさえやらなければいいのか>自分。