ローマ人の物語 賢帝の世紀

イタリア行き以来、すっかり世界史づいている。ローマ史が面白くってしょうがない。なので、ローマ史関係の本ばかりを漁って読んでいる。
ローマ史だから古代のことだろ、と思うのは、大間違いで。現在も世界が内包する問題はこの時代から続いているのだ。人間の業の怖ろしさ。
まずは、おなじみ塩野センセの「ローマ人の物語」から。

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塩野版はとにもかくにもローマ史をわかりやすい形で提示して見せた手腕は明か。「五賢帝」と教科書で丸飲みさせられた時代を、わくわくこの面白く読ませてくれる。賢帝と暴帝との二つにはっきり色分けせずに、それぞれの背景事情と小説家ならではのキャラ立てする手腕はいつもの如く。まー、ときどき作者自身の生の感想がうっとおしい時もあるけれど…。
ギボンによれば、人類(ローマ人)がもっとも幸福だった時代と評され、帝国の版図が最大となった時代。
それにしてもローマ帝国、ぶいぶい言わせてます。後方のダキアを片づけ、そこで簒奪した富はすべて公共事業に回し。ユダヤやパルティア等の問題を抱えてはいるものの…。
このローマ帝国の隆盛は、政治感覚に優れた皇帝たちを戴くことが前提のシステム。故にその大元に座る人が変化するとき、帝国自体も変質することになる。どんなに素晴らしいシステムも、内部からの腐敗を防ぐことは難しい。