女王ファナ

シネフィル・イマジカにて

女王ファナ女王ファナ
ビセンテ・アランダ ピラール・ロペス・デ・アジャラ ダニエレ・リオッティ

ポニーキャニオン 2004-09-15
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スペインイザベラ女王の娘ファナ。ハプスグルグのフェリぺ美公と結婚し、しかもカスティーリアの王位継承権すら持つ彼女の愛と狂気に苛まれる半生を描いた映画。そういった女王の内面に焦点をあてているために、歴史的状況その他は別のもので補うしかない。まあ、スペインでならば、言わずもがなの話なのかもしれないけれど。
わざわざ「狂女」とまで呼ばれるファナ、どれだけ怖ろしいかと思ったら、映画での彼女はただただ愚かしいだけ…。浮気相手だったメイドの髪を切るシーンこそあるけれど、側女を生きたまま酒壺に入れて殺した呂后などモノホンに比較すれば可愛いもの。夫の嫉妬を引き出したくて、浮気を演出するシーンなんて、ひどく子供じみていて、愛らしくさえある。(それで、左遷されちゃう無実の騎士はめちゃめちゃ気の毒なんだけど。)
実際に、王女ファナが実際に狂っていたかというのは、現在は疑問もあるようで。周り中が、大きな権力を集めすぎてしまう愚かしい女をよってたかって狂人扱いした、というのはありそうな話。
それにしても、こうやって情熱が溢れすぎて傍迷惑なタイプの悪女って、クリエイターを刺激するのか。実際に相手をしなくちゃならないと鬱陶しい限りなんだろうけれど。サロメが永遠のモチーフであるのと同様に、この手の女性のフィクション率は高い。
ファナを演じるピラール・ロペス・デ・アジャラはとても綺麗な女優さん。その美しい顔を歪めて、夫への執心のあまりすべてが過剰になってしまう女を見事に演じきっていて。若いのに実力派だ。