モンスター・ハウス 

公式 http://www.sonypictures.jp/movies/monsterhouse/
モンスター・ハウス@映画生活
どこにでもいる「うちの芝生に入るな!」とどなるコワイ親父。でも彼の背後の家は、本当に生きていた!大人が誰も信じてくれないこの事実に、ハロウィーンを前にして、3人の子供たちがたちあがる!というお話。
久しぶりに劇場に。冬の映画館は風邪をひきやすいから、なかなか勇気がいるんだけど。とはいえ、「モンスターハウス」…ほとんど人が入っていないです。公開されたばっかりなのにね。平日だからかな…?
人間を主人公にした3Dって、ホントに難しいなぁ、というのが印象。リアルにすればするほど気持ちが悪くなる。顔がリアルなのに、固めたような髪の毛が…。(すでに毛髪の技術は確立してるのになぁ…。)そういった技術的な部分でいえば、劇場へ行く価値があるかどうか、については疑問。レンタルで十分な映画かも。アメリカではアイマックスシアターでの飛び出す映画として公開されたそうなので、その施設がない日本では辛い、ってのは、まあ、仕方のないところかもしれないけど。
肝心のお話のほうは、王道を行くわりにはなんとなく背景となるものが寒い。でてくる子供たちは本当にアメリカン。正直言って、そこまでリアルにしなくても、って思えるのようなリアルなアメリカのお子様。(つまり、ちーっとも可愛らしくはないのね。)進学校のプライベートスクールに行っている女の子の生意気っぷりは、ちょっと悪くなかったけれど。
溺愛はするのにちっとも子供を見ていない母親。無関心の父親。彼氏をひきこむろくでなしのベビーシッター(ホラー映画なら、不純異性交遊の罪で一番最初に殺される役回りね。)無能極まりない警官たち…結構、見てて鬱っぽくなってくるんですが…。
肝心の「家」の動きはまずまず。ちょっと「ハウルの動く城」みたいなところもあって、これ宮崎さんならもっと上手にやったかも、などと思ってしまった。その怖ろしい家に立ち向かう子供たちってのも王道を行くんだけど。(自分の家の薬局とはいえ万引きはまずいぞ。>チャウダー
ネタバレするのであんまり言えないけれど、「家」の正体は途中で明かされます。しかし、その正体を知っていて、誰も「家」を悼まない。悲しまない。そんなツイストぶりに、監督の「へーん、泣かせなんかやるかよー」ってへそ曲がりなドライな感覚を見て、感心しないでもないけれど…。付喪神の伝統を持つ日本人には、どうにも後味が悪い。以下ネタバレなので反転。家の正体は不慮の死を遂げたおじいさんの奥さん。見せ物小屋に閉じこめられていたという暗い過去がある太った女(ひと)だ。そりゃ、せっかく手にいれた自由と家と幸せを守りたくて、怨霊のひとつにもなるだろう。その怨霊のオブセッションに34年間縛られると、たとえ愛していた妻でも憎しみと変わってしまう。そのことは理解できるが、、その「家」をやっつけて、ただ「やーわしは自由になったぞー!」でおしまいにされて、かなりがっくり。じいさんにはあの「家」に同化して、巨大モンスターとして、そこらへんの平和な住宅地を蹂躙するか、せめて我が手にかけてしまった哀れな女房への哀悼は示してほしかった。
まあ、主人公のハロウィーンへの複雑な「思い」を含めて、結構ねじれた映画なんだけど、その「ねじれ」を楽しめるか、というと微妙かも。いろいろとホラー映画へのくすぐりが一杯入っているので、そこらへんを数える楽しみだけはありそう。