鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー

鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー鬼切り夜鳥子2 京都ミステリーツアー
桝田 省治 佐嶋 真実

エンターブレイン 2007-02-28
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「鬼切り夜鳥子」の続編。どどんと、ものすごいボリューム。前巻からでも倍くらいの大きさだから、読みでがある。
前巻ラストで一端は離れた夜鳥子が、修学旅行で京都へ行く駒子のもとへ戻ってくる。…「京」において、葛城一族の危機を救いと最大のライバル「胡蝶」との戦いに赴くために…、というお話。
お調子者の新キャラ荒木乱賀の参入で、さらに賑やかになった駒子たちのご一行。Fカップ改めGカップの頭脳系三ツ橋も前巻以上に大活躍で、世話役一手に引き受けているのがいじらしい。もっとも久遠と駒子の関係性は微妙に変わっていて…ラブコメモードに突入という感じ。前作よりは、彼らが年相応に悩むようになったので、キャラがちょっとだけ変わっているかも。ワキを固める虚空坊や、なんにでも変化が可能なキツネの貴人など、いい味のキャラもいっぱい。
化け物描写に関しては前作をはるかに上回る桝田スタイル。グロテスク度はあがって京都凄惨絵巻に。いろいろと化け物の描写は読んできたが、「人蠱」の描写の凄まじさは、凄い。容赦がない。普通の女子高校生である駒子たちが関わるのが気の毒なほどに。
京都ミステリーツアーと銘打たれただけはあって、京都の名所や裏名所はばっちりでてくるので、京都を実際に知っていると二重に楽しめる。まあ、京都は歴史の側面から見たら、夜鳥子のツッコミのごとく、どこも戦場、どこも刑場、人の尽きせぬ恨みの何がでても不思議がないような剣呑さ。私など、幸か不幸か、そういう霊感なるものにまったく無縁なので、呑気に「京都観光が好きっ」って言えるわけだけど。
ただ、ひとつの物語としては、少々詰め込みすぎで、サービス精神の暴走みたいなところがないわけじゃない。もうちょっと刈り込んだほうが、ラストの1000年の因縁とこの後の戦いといったものが鮮やかになったような…。また駒子が足をケガして走れなくなる部分は、アスリートである彼女が最大の武器を封じられるのだから、どうしても彼女らしさがでにくくなっているきらいはある。
とはいえ、久遠や三ツ橋の正体云々を次に積み残して、まだまだ続編はあると見たので、先は楽しみ。後書きには、次は「外伝になる」とのことだけど…。さてさて。
てゆーか、著者おすすめのCV高山みなみでのアニメ化が是非見たいっす。