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ブライアン・グレイザー ロベルト・シュヴェンケ ジョディ・フォスター

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2006-05-24
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ジョディ・フォスターが、飛行機内で失踪した娘を捜して、戦う話。「エイリアン2」のリプリーの如く閉鎖空間での母性による強さの戦いの話を目指したんだと思う。と、思う、と奥歯に挟まったいい方になってしまうのは、戦う相手はほとんどがなんの関係もない乗客乗員なわけで…。ついつい見ている側は子を失った母親ではなく、それによって迷惑をかけられる乗員乗客のほうに、感情移入してしまうから。いきなり犯人扱いされるアラブ系のお兄さんはかわいそすぎる。しかも。彼は最後まで、名誉を回復されることがないのだ。(多分、そういうシーンがあってしかるべきなのだが、カットされちゃったんでしょか?はっきり言って、これはかなり不快なシーン。)
機内という閉鎖空間を利用したサスペンスは、まあ出来がいい。もしかしたらすべてジョディ演ずる母親の妄想ではないかと思わせるミス・ディレクションは、さすがの神経症的演技力で上手い。世界最大の飛行機という設定なので、やたらに機内が広いのは、まあ、目をつぶろう…(エコノミーがあんなに広いのありえないけど。)
しかし、やがてコトの全貌はあきらかになるわけだけど、どう考えても設定は無理ありすぎで、そこですっかり萎えてしまう。サスペンスやミステリでよくある、最初から「機内での犯罪にするために逆算したシナリオ」だから。あれだけの人数がその場にいて、娘の存在にまったく気付かないということを前提の計画は危険が多すぎるし、飛行機の設計者だからといって、行動力があるとは限らないし。とツッコミどころがおおすぎる。
ま、この映画もっと面白くするには、もうひとひねり必要。ラストにジョディ・フォスターが娘を抱いて脱出!と思わせて、その手に抱かれているのは「人形」でした…ってまっ黒なオチがよいのでは?つまり犯人を含めて、やっぱり彼女の妄想。そうすれば、辻褄のあわなさはすべて解決。
なお、ショーン・ビーンの機長は相も変わらず不幸オーラを漂わせていて。今回の事件の不備を問われて、さぞ上から絞られたんじゃないか、と思わせる。(機長の行動も不備ありすぎ。)