キリクと魔女

アフリカを舞台にした童話のフランス製作アニメ。日本版の演出を高畑勲が担当している。自らの意志で誕生した小さなキリク。その小さなキリクが魔女カラバによって災いを被る村を救うという冒険譚。

キリクと魔女キリクと魔女
ミッシェル・オスロ

ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント 2004-02-20
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http://www.kirikou.net/
影絵のように見せる美術が素晴らしい。日本アニメやハリウッドアニメの文法に慣れた身には、いろんな意味で新鮮に感じてしまう。
「魔女が何故いじわるなのか?」魔女が魔女であるから脅威であると切り捨てないキリクの知恵が、最終的な解決をもたらし、村の人間ばかりか魔女さえも救うという、神話のようなお話。キリクは小さな身体と「知恵」以外に武器はなく、せいぜいがものすごい勢いで走ることができる、ということくらい…。
そこに深い寓意を見出すなり、単純な冒険譚として小さいキリクの活躍を面白がるなり、どちらでもいいのかもしれない。「神話」とはそういうものです。
単純に「キリクは大きくない、でも勇敢だ」とフランス語で繰り返される歌のリズムに乗って歌い踊る人々や、小さなキリクがものすごい勢いで走ったりがえらく楽しいし。「お前は自分から産まれてきたので」と突き放したり、やたら投げやりだったり、でもキリクをちゃんと理解しているキリクのお母さんがいい味だしてます。
日本語吹き替えの神木隆之介@「アギトの小ダミアン」は天才的に上手いし、浅野温子のカラバも低めの声が似合っていた。(しかし神木くんの声で「小娘はきらいだ」って言われると、なかなか笑ってしまう。)