ローマ人の物語〈27〉〈28〉すべての道はローマに通ず

帝国のインフラ整備に視点を絞った27巻と28巻。昨年出ていたのをミスって読んでませんでした。

ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉ローマ人の物語〈27〉すべての道はローマに通ず〈上〉
塩野 七生

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ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉ローマ人の物語〈28〉すべての道はローマに通ず〈下〉
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時系列をすっとばしてもローマ帝国の根幹ともいうべき、インフラ整備を主題にして一冊(文庫だと上下2冊)にまとめたのは、なかなか大胆で面白い。こういう一見地味な題材でも圧倒的な文章力で読ませるちゃうんだよね。文庫なので、写真が小さいのがちと残念なので、単行本を買い直そうかな。
でも、相変わらず塩野センセのローマびいきで、他の文明との比較には眉につばつけて読まないとダメだと思う。この本だけからでは、唐帝国が街道などの整備をせずに「万里の長城」のような城壁ばっかり作っていたような印象を与えかねない。どっちにしろ大帝国の基礎には武力とその武力を効率的に運ぶインフラが重要なのは、洋の東西を問わない話。高性能の地震計を持っており、それによって震源を探り、すぐさま部隊を差し向けたと思われる唐帝国が、インフラを蔑ろにしたとは思えない。(まあ、水道とか浴場は文化の違いで作らなかったんじゃないかな、とは思うけれど。)
ま、そういう細かいことは抜きにしても、大帝国を経営したローマの政体というものがいかに効率的機能的であったか、そしてその効率と機能とがいかに失われていったかが、わかりやすい。
次はそろそろローマ衰亡の話へと続いていくんでしょな。