サルバドル-遥かなる日々-

南米エルサルバドル。独裁者による過酷な暴力の嵐が吹き荒れる中を、ろくでなしのジャーナリスト、リチャード・ボイルが見たものとは…。

サルバドル-遥かなる日々-〈特別編〉サルバドル-遥かなる日々-〈特別編〉
ジェームズ・ウッズ ジェームズ・ベルーシ オリバー・ストーン

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2002-03-22
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薬に染まり、9ドルで処女が買えるからオマエもサルバドルにこい、と行きずりに出会った失業中のDJを誘う最低のろくでなしのジャーナリスト、リチャード・ボイル。その彼が見た独裁国の過酷すぎる現実。
共産主義と戦うというお題目のため、さまざまな非人道に目をつぶり、独裁政権援助を続ける「合衆国政府」と、それを知りつつ告発すらしない他の「ジャーナリスト」たち。
ろくでなしのリチャードですら、ジャーナリストとしての最後のプライドを思い出すほどに悲惨な状況。身分証明書がないというだけで処刑される少年、暗殺される司教、レイプの末虐殺される修道尼たち…。虐殺によって築き上げられる死体の山。リアルすぎて吐き気がしそうなシーンの数々。
せめて好きな女だけでも地獄から救いたい、と、あくまで人間くさくあがくリチャード・ボイルをジェームズ・ウッズが渋い演技で見せる。時にシニカルでユーモラスで、時に鷹のような鋭い目を見せつつ。心の底に残ったわずかな正義感をキラリと見せつつ。
キャパを思わせる戦場カメラマンを演じるジョン・サベージや、麻薬に耽溺し、サルバドルに残るDJを演じるジェームズ・ベルーシなど、脇を固める俳優たちも、上手い。バックに流れる胸をこするようなラテン音楽も印象的。
そして、苦い、苦いラストシーン…。

これは「過去」の物語。けれど明らかに「現在」につながる物語。