精霊の守り人

NHKBSでアニメ化されている「精霊の守り人」の原作。

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精霊の卵を産み付けられてしまった、第2皇子チャグム。皇妃によって、その皇子を押しつけられた恰好になった女用心棒バルサ。彼らを追う宮廷からの追っ手からの決死の逃避行がはじまる。
アジアっぽい世界観のファンタジー、守人シリーズの第一巻。作者は児童文学の人だとかで、非常に丁寧なつくりのストーリー展開と性格描写。それだけに地味な作品なので、これをよくアニメにしようと思ったな、と、ちょっと感心。アニメに関しては、よくできた部分とは思うんだけど、キャラデザがちょっと苦手なんだよな。
貴人に産まれ育てられたにも関わらず、過酷な運命に投げ込まれるチャグム、「新ヨゴ皇国」の未来を望まないのに背負ってしまった少年の、幼いながらもの迷いと力強い決心。
一方、自分のせいで父とも師とも慕った養い親が犯した罪を購うために、人を助けることを生業に選んだ女戦士。彼女の罪の償いとしての用心棒稼業が、剣鬼の自らへの怖れ。そんな二人の出会うことにより、二つの心が寄り添い、交流し、やがてくる成長がはじまって行く。
主人公たちも、その敵対する相手をも、絶対の善や悪として描かない。この世の理の中でのそれぞれの立場での努力を、細やかな筆致で描いていて好感が持てる。
アニメ化も手伝って、どんどん文庫化されそうなので、先が楽しみ。