興亡の世界史 シルクロードと唐帝国

興亡の世界史シリーズ。表題のごとくユーラシアに焦点をあてている。

シルクロードと唐帝国シルクロードと唐帝国
森安 孝夫

講談社 2007-02-17
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今まで買った興亡の世界史シリーズはどれも面白いんだけど、残念ながらこれはハズレ。NHKの「シルクロード」の甘い音楽に載せた情緒的な内容が、日本人のシルクロード史観を歪めていると著者は力説するんだけど、著者の思いこみがどうにも暴走している感じがしてしまう。
正直、読者にとってはどうでもいい学界内の論争などを持ち出されて、」「こうして論破した。」など「自明である。」などと言われても、全然こっちには自明じゃないしね。
そんなことを雑音をいれなければ、多くの謎に包まれたソグドの民が縦横無尽にシルクロードを行き来して、中央ユーラシアに多民族国家を形成したという仮説自体は確かに面白いんだけどね。
一体誰に向かって書いた本なのか?このシリーズは、あくまで歴史学とは無縁の人に対して、教科書で教え込まれてきた古いものの見方を揺さぶろうという意図につくられていると思っていたんだけどな。