ロング・グッドバイ

レイモンド・チャンドラーの古典的ハードボイルド・ミステリ。村上春樹

ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイ

幾多の亜流を呼んだチャンドラーの名作。
当然のことながら、話としては古典中の古典。幾多の映画や小説がドラマがアニメが、この手の話をパクッた古色蒼然たるハードボイルド。その昔、「長いお別れ」のほうは読んだと思うんだけど、まるで覚えてなくて…。
ただ、さすが本家本元だけに、その文章と持つイメージとが美しくて。独特のリズム、独特の文体。作家村上春樹の手にかかり、まるでコニャックの酔いを与える。夜、静かにチビチビと読むのが相応しい小説。
それにしても、フィリップ・マーロウってこんなに何もしない探偵だったっけ?巻き込まれて、どうしようもなくて、手をこまねいた上に、結局何もしない。ただもう、センチメンタリズムの男。しかも、きれいな女にめちゃめちゃ弱い。つーか、この小説、ダメ男しかでてこないので。
そういう男たちの話を美しい文体と渋いハードボイルド台詞が、飾っている。あーでも、後のハードボイルド小説も大体そんな感じか。