うそうそ

畠中恵しゃばけシリーズの第二番目の長編。
相変わらず身体の弱い若旦那だけど、一念発起、箱根に湯治へ。でもそこから波瀾万丈の御難続き…。と日本最弱主人公のささやかかつ壮大な冒険がはじまる。

うそうそうそうそ
畠中 恵

新潮社 2006-05-30
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いつもの一太郎一行で出掛けたはずなのに、兄や佐助と仁吉が失踪してしまって、さあ、大変。いきなり心細い思いをしつつ、誘拐事件やら、天狗の襲撃やらと、一難去ってまた一難。ゆっくり湯につかるヒマもありゃしない、という。
しゃばけ以来の第2長編。千年もの引きこもり少女お比女と守り役の天狗やら、武士から転落して籠かきとなった雲助の頭領やら、と、いろいろと抱えているキャラがたくさん出てきて、楽しい。
独り立ちが出来ないことの、不安と不満、申し訳なさと自分の不甲斐なさへの怒り。それは山の神の娘である比女が抱える苦しみであり、その悩みを恨みを一太郎にぶつけることになる。しかし、比女が抱える悩みは同時に一太郎自身が持つ悩みなのだ。
彼もまた、大店の跡取り息子でありながら、身体が人一倍弱く、一人前になれないことの悩みを心の奥底に抱えている。
他人は強く、かがやしく見える。でも…。
二人が、その悩みとどう立ち向かい、そしてほんの少しだけの成長を得るか…。盛りだくさんでのように見えながら、この長編を貫くひとつの主題はそこに集約される。
なにげない、さりげない。心の動きの描写がやわらかいのに切ない。そんないい小説だ。

しゃばけ」シリーズはドラマ化されるらしいけど、どうなるんでしょね。ちょっと心配。
http://wwwz.fujitv.co.jp/shabake/index2.html



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