ストレンヂア 無皇刃譚

公式 http://www.stranja.jp/
goo映画 http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD11363/index.html
今週の金曜日くらいに、公開が終わってしまうのを、ぎりぎり見てきました。それもこれも、非常に面白い、という情報をもらったから。
予告編を見て気になるところはあるものの、なんとなく「サムライチャンプルー」みたいなのかな?なんぞと思って、すっかり劇場公開をノーチェックだったのよね。(「サムライチャンプルー」は決して嫌いじゃないんだけど。この手のネオ時代劇って地雷が多いのだ。)
中国は明の時代。日本は戦国の世のまっただ中と見受けられる時代。秦の始皇帝よろしく、不老不死の仙薬を探し求める皇帝に取り入った道教の戦闘集団。彼らの目的とは明から逃げ出した「犠牲(いけにえ)」を追うこと。
犠牲の少年を助けた僧。明からの一行を保護し、利用しようとする戦国大名と、思惑も入り乱れて。
一方、犠牲(いけにえ)の少年は名無しの青年と、いきずりに出会い…。二人の運命は、三者三様の権力争いの思惑のなかで翻弄されていく。
首が飛ぶ飛ぶ、血しぶきどばーっという、まるで黒澤映画(?)のリアル表現。それをアニメならではのけれんたっぷりのディフォルメに変換している。それなのに基本的に色目をおさえた地味な画面づくり。
そこらへんのバランスの取り方が絶妙というか、金髪碧眼のキャラだったりする設定の突飛さや声優に中国語を喋らせるという違和感を上手にまとめている。地に足がついた感をちゃんと押さえて、時代劇をきちんと踏襲している。
それにしても、降る雪、舞う雪、うすく降り積もる雪、それを蹴立てることによって生じる飛沫。乱れる足跡、雪上の人の動き。その雪を血に染めて起こる三つどもえの戦いの凄惨さ。丁寧な描写とリアルな質感、決してそれが浮き出したりはしないのに、物語を語ることの一部になっているのが素晴らしい。
強い相手と戦うことだけを生きる目的としてしまった戦士(呂布がモデルかな?)、下克上を狙う野望の男(醍醐影光?)、僧籍にあり慈悲の心を持ちながら結局組織の力に流されてしまう僧などなど、キャラ立ても生きているなぁ。(でも、僧の最期はちょっとあっさり流しすぎのような。)
お話自体は、道具だては上手いけれど割とシンプル。どうしても「どろろどろろと百鬼丸)」を彷彿としてしまう内容で。というか、このクオリティでつくられた「ばんもんの巻」が見たいです。是非。