稲尾和久

子供の頃から、西鉄ライオンズファンの、祖母と母に、伝説の西鉄-巨人の日本シリーズの話しを聞かされ続けました。
もう、今そこであっているように。数え切れないほどに何度も。合戦話みたいなモンですね。
3連敗して意気消沈する西鉄ナイン、すでに巨人優勝祝賀のためのパレード車まで用意されている。知将三原がついに立つ。そこに颯爽とあらわれいでたるは救世主稲尾。
神様、仏様、稲尾様。鉄腕稲尾の前に、巨人の選手のバットが空を切る。バッタバッタと築くアウトカウント!続け大下、中西!野武士軍団の心意気。水爆打線が爆発だ。
巨人ファンの悲鳴を背に、ついに4連戦をその鉄腕で乗り切る稲尾。平和台(ここ重要。当然、福岡ドームではない。)に響く博多っ子の歓声。

ああ、栄光の西鉄ライオンズ

(…ねえ、最初の三連敗の時は何をしていたの?というツッコミは、大人になって思いつきました。)

刷り込みとはコワイものです。見たこともない野球の試合の様子が、頭に刻みつけられて、それ以上のものを見ることができなくなりました。監督になってからの稲尾しか知らないのに。幻視した夢を越える光景など、めったにあるもんじゃありません。
祖母なんて、西武になっても、西武鉄道ライオンズだから「にしてつ」だと言い張って、西鉄と呼び続けてました。(祖母だけじゃなくて、今でも、西鉄の旗でライオンズの応援している人々もいるそうです。)

伝説のヒーローの訃報に、哀悼の意を…。