項羽と劉邦 (下巻)新潮文庫

読了。結局のところ、劉邦が天下の覇権を握ったのは、運がよかったことと負けるコト、逃げるコトに慣れていたから、ってのがあるらしい。
司馬版を読む限りにおいて、二人ともダメ人間。劉邦のほうは自分がダメ人間であることを自覚している様子だけど。
武将の末期として、「虞や、虞や、汝を如何にせん」と嘆く項羽は、大変に情が深い。心優しいとさえ言える。その人が同時に、憎悪の感情もなく何十万人という投降兵を生き埋めにするのだから、人の心の作用というのは奇怪である。