奇貨居くべし 天命篇中公文庫

やっと読了。いやぁ、長かった。
勿論、この長さをものともせずに読ませるだけのものはある。漢語混じりの文章はかなり難解で、読むひとを選ぶとは思うが、心に沁みる美しさである。
呂不韋が賈人(豪商)として大成し、しかもそれから秦の公子を補佐することによって宰相にまでのぼりつめる過程は、波瀾万丈で面白い。
しかし、「徳」に重きをおくことによって、自然と回りが助けてくれたり、美少女がたくさんでてきて、全部「仲さま〜(呂不韋の字)らぶ」と慕うのも、かなり都合がいいかも(苦笑)。
重厚なドラマは秦王政が即位してから。呂は政に疎まれ、だんだんに政治の中心から遠ざけられる部分にあるのだが…。残念ながら天命編の中盤くらいからで、さらっと描写される。また呂が政の父親であった可能性も、わずかに匂わせる程度だ。