ラストサムライ

ラストサムライについてもう少し。
私はこの映画は「日本」賛美の映画ではないと思っている。ここで愚かな殺し合いをやっているのは、結局日本人同士だしね。
ただ、アメリカ人が作ったにしては、この映画はあまりにも日本的センチメンタリズムに溢れている。ここは凄いと正直に感服する。
すなわち「サムライ」という言葉に象徴される、時代の趨勢、押しとどめようもない流れの中で、滅びることが定められた人々に、悲しい美学を感じるというところだ。
通常、「負け犬」は「負け犬」であるというのが、西洋的や中国的価値観なはず。
判官贔屓の言葉の由来となった源義経源義仲太平記の楠正成に感情移入してしまうのが日本の民衆である。その流れは忠臣蔵会津戦争にまで面々とフィクションとして受け継がれている。浪花節こそ、日本メンタリティ。
だから、桜だけは…もう少し薄い色の儚い花びらを散らせるものにしてほしかった。