文楽

人形浄瑠璃の人形はまったく表情が動かないのに、生きているかのように動く。3Dはその伝統を継ぐべき。
APPLESEED
士郎正宗


メカ戦や爆発については、非常に高い技術だと思う。街の様子など、かなり素晴らしい。だが、ずーっとプレステ2で見るゲーム画面を追っている気分は、つきまとう。その手の3Dゲーム、かなり苦手なんだよなあ…。
8ビットのファミコンのドット絵には感情移入ができても、プレステ2の3Dでできあがった人形絵を前にすると、心の中で木枯らしが吹くのは何故か。自分でも3D美少女はつくったし、それをリアルに作り上げることがいかに大変かということは重々承知ながら。
ひとつには、「表情筋」が動かないことへの違和感。
心の動きの表現は、口と目だけじゃない。顔全体の表情筋の動きも伴う。それがないから、次の表情へ動くときの中間の表情がなくて、とても不気味に感じる。
ひとつには、リアルなキャラの「口パク」への違和感
だが昔から日本アニメーションではセル枚数が制限されているためか、口だけをパクパクと動かすことで、「喋る」を表現してきた。だからこそ顔全体を突然ディフォルメしての感情表現や、いわゆるお約束と呼ばれる「汗」の表現などで誤魔化してきた。だからアニメを見慣れることのない人に見せると、意味が巧く伝わらなかったりするのだ。2Dから3Dに移って、頭のほうは「リアル」「実写的」に切り替わっているのに、相変わらず「口パク」をされると、どうにも違和感がつのる。

アップルシードでは、元の士郎正宗の絵もそうなのだが、さらに「昔の」「少女漫画チック」なキャラデザインのヒロインとなっている。そのためデュナンやひとみやアテナがどうにも…。上記にあげた違和感が増幅されている。
なんかまともに「人間」に見えていたのはナントカ会議のおじいさん連中だけかも。