ハウルの動く城

巷での酷評を仕入れてから見たので、期待しすぎることがなくて楽しめたかも。アニメの基本はメタモルフォシスだと思っているので、その変容を非常に魅力的に描けていることがツボ。
というか、動く城の描写だけで、許せちゃったりするわけで。はい。うみょんうみょんと触手が動く大戦艦とか、2次元のアニメ描写としては究極までいっちゃっているヨーロッパ風の都市の描写とかね。もう、好きで好きで。
もちろん、いっそ清々しいばかりに「ストーリー」がおざなりになってるんのは認めるけどね。物語としては完全にいびつだし、説明は不足しているし、とってつけたようなハウルとソフィのハッピーエンドのおかげで、なんとも座りが悪い状態だし。心臓=ハート=心のない引きこもり魔法使いが感情をとりもどしても、「恋」ができると思わないので、このめでたしめでたしの後がコワイ。実は物語はこれから始まらないといけないんじゃないだろうか?でも、そんな、おどろしい物語はスタイルじゃないんでしょな。美青年なんざ大嫌いなくせに、キーパースンに据えちゃった宮崎さんが悪い。
ただ、どうせ上手く恋愛はかけないのだから、原作にとらわれず、ハウルは異形のままで、ソフィもおばあさんのままで、蕪頭もかかしのままで終わるべきだったのにねえ。
全編にちりばめられた過去の宮崎アニメへのセルフパロディが楽しい。魔法を失って液状化するハウルは、「もののけ姫」方向を指し示す宝石とかおさげ髪を失うソフィーは「ラピュタ」とか。DVDで見直して、数えてみるかな。