海のトリトン

海のトリトン Vol.1海のトリトン Vol.1
塩谷翼 広川あけみ 北浜晴子

ジェネオン エンタテインメント 2002-10-25
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日本映画専門チャンネル手塚治虫シアターで、「海のトリトン」の放映が始まるということで、初回を視聴。ほとんど再放送がされてなかったことを考えると、記憶の中で美化が起こっているに違いないので、おそるおそる見てみる。
鬱展開アニメの祖とも言うべき作品で、いまだに私がアニメを見続けているのは、小学生でコレにはまったせいかもしれない。そういう思い入れの強い作品だけに、記憶の美の中に閉じこめておくほうがいいかもしれない、と思いつつ。
さて、こうやって心に保険をかけながら見た感想としては、やっぱトミノトミノです。もちろん、アニメの技術としては古くささを通り越して稚拙な部分もあるけれど、その脚本は満点だ。初代ガンダムの初回脚本は完璧な脚本と言われるが、それに匹敵できるほどの完成度の高さだと私は思う。
小さな漁村、そこに育った異世界の子。ささいな姿形の違いをあげつらわれ、差別される生活。またその子を異世界の子としりつつ実子の如く愛する老人の分け隔てのない愛情と少年の成長へのおそれ。しかし非情にも、その子に差し向けられる怪物の刺客。たとえ、その怪物を退治しても、さらなる被害がでることを知る少年は、自分自身の出自を知るためにも、村から出、大海へ旅立つことになる。
30分の中に詰め込めるだけ詰め込んで、少年の置かれた立場や、出自の謎をばらまきつつ、無力な少年の機転による怪物退治までも盛り込んでいる。うーん、スゴイ。
実は第一回は放映時にも見ていない、トリトンの出発(たびだち)の経緯は、ドラマの中の回想シーンでしか知らなかったんだけど…。アニメの黎明期にすでにここまでのコトをやっているんだな、と、感心してしまった。
作画だけを直して、絵コンテこのまま脚本このままでリメイクしてほしいところだけど、まあ、そこんところは脳内補完で処理のほうがいいのかもしれない。