プライス・コレクション「若冲と江戸絵画展」その2

人に流されるようにして、ひとつひとつを眺めていく。若冲だけでなくよいものが多い。
もともと、琳派の絵はきらいではない。浮世絵展にも何度か足を運んだことがあるし、「土佐の絵金」のような異端も好むところである。
それにしても若冲の絵は面白い。その幻視能力の高さは、シュールレアリスムの画家たちに勝るとも劣るものではない。細部にこだわり質感を出しつつも、「この世の外」を表現する。どんなに写実に描いても、超現実が浸食する。構図の取り方も、西洋絵画とはまったく異質ながら、なんとも躍動感が…。
後、気に入ったのが雪中美人図。白い雪の中を喪服のような白い和服を着た美人。襟足と裾の紅色が、妙になまめかしくて。
雪中松に兎・梅に鴉図。モノクロームの美しさを極限まで見せてくれる屏風絵。雪は、白い絵具ではなく地の色とか。
応挙の作品(懸崖飛泉図屏風)に、「光」の当て方を変えてみせる演出が素晴らしい。彫刻はもちろん、絵でも、光の当て方で変化するもので。よい美術館はその「光」の当て方が本当に巧みだ。(一番、それに凝っていたのは天下のルーブル美術館。自然光を採光したつくりで、午前と午後に行くのでは絵の表情が違ったりする。)光の具合によって、霧の中に隠された道が浮かび上がる、という趣向。絵の中の空間を支配する応挙の意志を感じる逸品。
以下絵画の画像はプライスコレクション、九州国立博物館による提供(クリックすると大きなサイズにいきます。)
 

展示場の中は全般的に黒で統一されて、江戸絵画のモダンを強調する。
以下展示場の画像はプライスコレクション、九州国立博物館による提供