もやしもん

もやしもん 1―TALES OF AGRICULTURE (1)もやしもん 1―TALES OF AGRICULTURE (1)
石川 雅之

講談社 2005-05-23
売り上げランキング : 1106

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
もやしもん 2―TALES OF AGRICULTURE (2)もやしもん 2―TALES OF AGRICULTURE (2)
石川 雅之

講談社 2005-10-21
売り上げランキング : 1570

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
もやしもん 3―TALES OF AGRICULTURE (3)もやしもん 3―TALES OF AGRICULTURE (3)
石川 雅之

講談社 2006-05-23
売り上げランキング : 1571

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
もやしもん 4―TALES OF AGRICULTURE (4)もやしもん 4―TALES OF AGRICULTURE (4)
石川 雅之

講談社 2006-12-22
売り上げランキング : 617

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
このマンガを読んだとき、「しまった!やられた!」って思いましたよ。ええ。
ヒカルの碁」とか「アイシールド」なんかを読むたびに、わかりにくいルールや蘊蓄といったものを、他者に伝えるのにマンガくらい適したメディアはないんじゃないかと思っていて。あらゆる工夫の結果とはいえ、そういったわかりにくいことをわかりやすく伝えることに漫画家さんたちは長けている。彼らの手にかかれば「ドラマ」にならないものはないんじゃないかと思っていまう。
そこで、地味でわかりにくくてロマンに欠ける「化学」という分野を紹介するにはマンガなんだよーって、配偶者には言ってたですよ。
化学の世界認識とは、見えない「分子を見る」ってこと。化学者にとっては、どんな現象も化学反応の一種、つまりは分子同士の相互作用ってこと。化学とはその目には見えない反応を、必死こいて、捉えていこうという試み。紫外吸収(UV)だの赤外線吸収(IR)だの核磁気共鳴法(NMR)だの、舌かみそうな大規模な装置を使ったりと、方法は数あれど、結局はソレ。だったらマンガ的には、その分子が肉眼で見えちゃえばいいじゃん。…そこまでは考えていたですね。私にはマンガを描く能力なんざないので、当然そのアイデアは、カタチになどならないまんま…ただ、考えていただけ。とほほ。←ダメじゃん
で「もやしもん」です。主人公が肉眼で顕微鏡でしか見えないはずの「菌」が見える。見えるだけの彼にそれ以上の能力はないんだけど、とにかく見える。「菌」が友だち。で、全欧ユースにはいかないけれど農大でまったりとした青春を送る、と。常識からのジャンプアップはそこだけ。特に大規模なストーリーがあるわけでもないんだけど、「発酵」「菌」「カビ」などの蘊蓄くりひろげながら、楽しむことができるマンガになってんだよなぁ。ああ、悔しい。面白いからいいけど。
勿論、「もやしもん」は無粋な「学習マンガ」じゃぜんっぜんない。不可思議な魅力のある登場人物たちが生き生きとしていて。主人公も含めて方向性が決まらないという、ある意味とてもリアルな大学生活が主題。一度食べたらクセになる発酵食品のような味わいのマンガ。
ということで、生物、化学関係者はみな「もやしもん」で一度かもされる必要があるんじゃないか?