レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像展

公式サイト http://www.leonardo2007.jp/
今回上京の目的のひとつ。だけどみんなから2時間3時間待ちと脅されて、すっかり腰がひけている私。見たいのは見たいんだけど。そこを、どんとチコリ総統閣下から見なさいと背中を押されて行きました。まあ、そのためにいつもよりも早い時間の飛行機を取ったんだし。フィレンツェに行くチャンスなんて、早々はないし。

 
お陰様で、金曜日のお昼前だったんで、思ったよりも混雑していない。これなら大丈夫かも。
ということで、入口で当日券を求め、まずは目玉の「受胎告知」。
工房の職人のひとりとしての作品は他にあるもの、処女作といっていい「受胎告知」。ガブリエルが処女マリアにキリスト懐胎を告げる聖書の一場面の絵だ。
最初に目を引かれるのはガブリエルの赤い衣装。たっぷりとした襞、重たい布の感触を余すことなく伝える質感。頭をたれながらも大天使の威厳有無を言わさぬ意志を崩さぬ美しい羽根。
空気遠近法を駆使して作られた背景から、まるで浮き出すような立体感。書見台の細工の細部でさえ、手にとって触れてしまいたくなるほどの細かい細工の描写。
そして行列に並んで、間近に見る聖処女の神々しさ。
天使が投げかける影の中、彼女自体から神々しい光が立ち上るが如く。印刷では決して目立つことのない後光(ハロー)と金色のベールがキラキラと光りを投げかける。含羞のマリアの麗しさ…。
もっと、ずっと眺めていたい。
ダ・ヴィンチはいつでもそう感じさせる画家だ。
http://www.leonardo2007.jp/explain/
http://www.salvastyle.com/menu_renaissance/davinci_annunciazione_u.html

さて、絵の興奮も冷めやらぬまま、企画展のほうに足を運ぶ。CGや模型を駆使したレオナルドの業績の展示は、どれも面白い。実現されることのなかった幻のスフォルツァ騎馬像の製作法だとか、飛行機械の模型。「最後の晩餐」の解説など、面白いのが多かったです。できればこちらは写真撮影可だとよかったのになぁ。(美術品が守るために撮影不可なのはわかるんだけど、こういった模型類だったら別にいいんじゃないかと。)
もちろん、彼の画家としての才能は工学の分野に活かされたし、逆も真なんだけど、それでも、たったひとりの人物が思いつく技術的アイデアとしては凄まじいものがあって…。そのあまりの広範囲ぶりに、弟子はもちろんいるにしても一種のユニット名なんじゃないかと思ったり。しかし、その目指すところが、常にメカニズムを解明なので、やっぱりひとりだよな、と思い直したり。
キリスト教が絶対的な権力を持っていた時代背景を鑑みるに、このメカニズムへの偏執は奇跡に近いと思うなぁ。ま、当然、何度も告発されて破門ぎりぎりだったみたいだけど…。