終の神話・天泣の章―封殺鬼シリーズ26 終の神話・地号の章―封殺鬼シリーズ27

このシリーズのよさは、キャラ小説を展開しつつも、骨子となる伝奇部分に手を抜いていないところ。陰陽師から記紀の神話に踏み込み、史実と伝承との狭間を、虚構と事実との狭間を、ひらひらと自在に飛翔する。
そして長いシリーズを、手を抜くことなく、ここまで勢いを失うことなくまとめあげたところ。
どのようなラストに集束しようとも、この鬼の千年の生のわだ闇とはかない希望とを描ききったことだけは確か。