読書

孟嘗君 2巻 3巻

孟嘗君 (2)宮城谷 昌光孟嘗君 (3)宮城谷 昌光孟嘗君 (田文)の幼年から少年時代。 1巻で活躍した田文の父親風洪が白桂と名を変え、「商人」となるまでが2巻。白桂から託された希代の名軍師孫びんに導かれ、貴人の父、田嬰の元に戻るまでが3巻。 桂稜の戦…

孟嘗君 (1)

孟嘗君 (1)宮城谷 昌光「奇貨おくべし」にもでてきた孟嘗君の一代記。第一巻読了。 まだ、文(後の孟嘗君)は赤ん坊でばぶばぶ言っています。現在のところ主人公は、文をひょんなことから拾ってしまった快男児風洪。 殺されるはずのところを、胆力のある風洪…

ユダヤ人とローマ帝国

ユダヤ人とローマ帝国大沢 武男ユダヤ人迫害は古代からその端を発している。 ローマ帝国時代のユダヤ人とユダヤ教とその他の世界およびローマ帝国の関係を端的に説明してくれる良書。 世界宗教となったキリスト教と、あくまでも民族宗教にとどまったユダヤ教…

式神の城II

式神の城〈2〉Paradise Typhoon海法 紀光式神の城シリーズの中では、一番好きかも。凝ったつくりとアイデアが面白い。 海法さんはキャラ立てよりも、アイデアと世界観構築で読ませる作家だと思うので、こういったパラレルワールドものは似合っている気がする…

耽美なわしら 上巻 下巻

耽美なわしら 完全版(上)森 奈津子耽美なわしら 完全版(下)森 奈津子ゲイとレズビアンとバイセクシャルとノンセクシャルが入り乱れるギャグ巨編、「耽美なわしら」が帰ってきた。って、アマゾンが送ってくるのが遅いので、読むのがこんなに遅くなってしまっ…

無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和 平凡社ライブラリー (150)

厳しい封建制社会の中で、それと相対するかのような、異なる道徳律の支配するウエなしの世界-無縁。それは権力者の支配できない寺であり、「河原」であり、「市」であり、「宿」であり、「家」であり。また堺の如き「自由都市」であり。 日本の中世について…

終の神話・天泣の章―封殺鬼シリーズ26 終の神話・地号の章―封殺鬼シリーズ27

このシリーズのよさは、キャラ小説を展開しつつも、骨子となる伝奇部分に手を抜いていないところ。陰陽師から記紀の神話に踏み込み、史実と伝承との狭間を、虚構と事実との狭間を、ひらひらと自在に飛翔する。 そして長いシリーズを、手を抜くことなく、ここ…

終の神話・天泣の章―封殺鬼シリーズ26 終の神話・地号の章―封殺鬼シリーズ27

最高潮(クライマックス)。利害を超えて「本家」が次期当主同士で集束。燃える展開だ。 シリーズをずっと読んできた身としては、三吾と佐穂子の成長が眩しい。ま、三吾のほうはまだまだスタートラインにたったところかもしれないけれど。本家の自体の存続の…

数量化革命

ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生 まあ、副題そのままの内容。9世紀にはイスラム社会から見ての野蛮人であったヨーロッパがいかに「科学」の発展を手に入れ、それが覇権をもたらしたか。 特に科学の発展に不可欠な「時間」や「空間」という概念の数…

イノセンス After the Long Goodbye

「イノセンス」について、もう少し。巻末の対談の中で、押井監督は「神狩り」を前にして、小説家となることを諦めたというエピソードが言及されている。なるほど、パト2は「三人の馬(虚栄の都市)」だ。 山田正紀は数多くの名作を生み出したにも関わらず、…

イノセンス After the Long Goodbye

映画イノセンスの前段階の物語。 とはいえ、バトーの性格設定などがかなり違うので、独立したSFハードボイルドとして読むのが吉かも。かなり山田正紀節もでてくるし。義体と魂とゴーストの話なんかはかなりつっこんで書いてあるが、必ずしも攻殻とはつながっ…

The The Lord of the Rings: The Art of the Return of the King

これでシリーズコンプリート。毎度のことだが隅々まで行き届いた設定が素晴らしい。ひとつづつの武器や鎧甲冑のコスチュームにもきちんと意味があって…。 なお、この中には、白馬に乗ったガンダルフがアングマールの魔王と対決しているシーンの挿絵があって…

ベルセルク 26巻

鎧を着たガッツなんてガッツじゃないー。というか、そういう新たな力と枷の付け加えをやっていると、彼らの「蝕」による烙印の重さが薄れてしまうと思うのだが…。

鉄腕バーディ 3巻

やっと手に入った。何故私の通勤路にある本屋においてないのだ…。 今回はかなりラブコメっぽく。悩める主人公はいつまでも悩む。 新キャラもたくさん登場。バーディの後任とか。敵の人形とか。話はどんどん混沌として。 巻末のおまけマンガも超楽しい。

式神の城〈2〉陰の巻ファミ通文庫

同じ物語を別主人公の視点からという趣向。ゲームをやっていないので、キャラに対する思い入れがもてないのが残念かな。勘違いニンジャはもうちょっとはじけてくれたほうがいいと思う。 この小説のおかげでガンパレードマーチ多重世界の設定が、ちょっとわか…

 小松左京コレクション 1 文明論集 未来の思想・歴史と文明の旅

「未来の思想」を読み直す。 高校時代からの愛読書でありながら、細かいところを忘れている。それにしても書いてあることが古くない。 しかし、この本が大阪万博の頃に書かれているということ自体が信じられない。すでに、インターネットによる情報革命も、…

トリフィド時代―食人植物の恐怖 創元SF文庫

SF古典的名作。 人類の大半の目が見えなくなり、すべての文明が失われつつあるときに、さらに自然の災厄として動く植物トリフィドが人々を襲う。 確かに学習能力すら持っているトリフィドは脅威だけど、文明が失われた「終末」に真に怖ろしいのは、同じ「…

ソロモン王の洞窟創元推理文庫 518-1

ニュージーランドに持っていった本。 活字が大きいので、飛行機の中でも読みやすい宮城谷短編集2冊も。 あまりにも有名なハガードの冒険ものだが、例の映画を見るまで読んでみようという気にはならなかったミーハーです。私は。 数限りない映画で使われた未…

奇貨居くべし 天命篇中公文庫

やっと読了。いやぁ、長かった。 勿論、この長さをものともせずに読ませるだけのものはある。漢語混じりの文章はかなり難解で、読むひとを選ぶとは思うが、心に沁みる美しさである。 呂不韋が賈人(豪商)として大成し、しかもそれから秦の公子を補佐するこ…

式神の城 2 陽の巻 (2)ファミ通文庫 364 SPECIAL STORY

イントロダクションはホラー風味だったのだが、後半は正しくシューティングゲーム小説。雲霞のごとく現れる敵を壬生谷の巫女が薙ぎ倒す。で、主人公がちょっと影がうすいかな。

The Lord of the Rings: The Art of the Two Towers

もうすぐDVDも発売なので、前準備として。The Art of the Fellowship of the Ring (Lord of the Rings)も素晴らしかったが、これも。指輪映画の完成度は、この美術のセンスの高さが大きく貢献している。 ゴラムのスケッチの数々だけでも必見かもしれない。 …

鋼の錬金術師 1 (1)ガンガンコミックス

先日見損ねた「鋼の錬金術師」の原作を。アニメもなかなかよいが、マンガのほうが面白いと噂を聞いて。5巻までを一気読み。 特に2巻〜4巻まで、息もつかせぬ密度で読ませる。面白い。 禁忌をおかしたが故に、弟を失い、その弟の魂を鎧におろすために片手…

奇貨居くべし―春風篇中公文庫

読みさしの本を増やしてどうする、と思いつつこちらも読み始める。高名な宮城谷昌光の小説だが、読むのは初めて。 漢語表現が多いので、ある程度読者の年齢と経験を選ぶかも知れないが、澄明で美しい文章である。司馬遼太郎が歴史の表舞を選ぶのに対して、こ…

史上最強の弟子ケンイチ 1 (1)少年サンデーコミックス

友人に薦められて。「純粋な少年の心を持つヤツだけが楽しめる漫画なんです。」と。 面白いんだけど、少年の心を持っていない私には、何故ヒロインがこうもムチムチのプリプリなのか気になって気になって…。拳法の達人なので、あれは筋肉なのか?そうなのか?…

あなたの人生の物語ハヤカワ文庫 SF チ 4-1

読み始める。 近頃読んだSFは、「しあわせの理由」やら「あなたの人生の物語」やら、知らない人が見たらハウツー物や人生論と間違われそうな題名ばかり。まあ、間違えて買っちゃった人は、「なんじゃこりゃー」とひっくりかえるかもしれないけれど。 ハヤ…

別役実の「贋作天地創造」―その日神さまは

自宅の近くの市立図書館に行く。建物も施設もリッパなんだけど、本の品揃えがまだまだという感じ。別役実の本が一冊しか見つからないのはどうよ。ということで見つかった本を読む。(「そよそよ族の伝説」を捜していたのだ。) 暢気極まりない創造主の作った…

項羽と劉邦 (下巻)新潮文庫

読了。結局のところ、劉邦が天下の覇権を握ったのは、運がよかったことと負けるコト、逃げるコトに慣れていたから、ってのがあるらしい。 司馬版を読む限りにおいて、二人ともダメ人間。劉邦のほうは自分がダメ人間であることを自覚している様子だけど。 武…

紀信プチフラワーコミックス

司馬版「項羽と劉邦」に「紀信」がでてきたので、古いマンガを取り出してきて読む。籠城した城から劉邦を逃がすために、身代わりとなって、劉邦に化けて項羽に降る紀信の物語である。 「信」のために、あえて明白な「死」を引き受ける紀信。司馬版でもかなり…

澁澤龍彦空想博物館

その時、私は、酔っていた。 楽しい旅行に。美味しいジンギスカンとビールとに。 それで、酔っぱらっていたからこそ、この分厚い本を旅程が残っているにものに手にとってしまったのだ。いやあ、小樽までこれを運ぶのは大変だった。 とはいえ、そういう大変さ…

項羽と劉邦 (中巻)新潮文庫

項羽による、10万人の秦の投降兵に対するジェノサイドは有名だ。生きたまま抗(あなうめ)にするという惨さ。これが秦の人間の恨みを買うことになり、天下の覇をとなえんとするときに足をひっぱる結果になる。 その件はまあ当然どの話でもでてくるんだが…。…